先生方の近況

このコーナーではご活躍中の恩師の先生方の近況について、インタビュー形式で掲載しています。

先生方の近況

小池明先生 2010年4月より松田幸子先生に代わり、小池明先生が学長に就任されました。 小池明先生には同窓会名誉会長として同窓会運営にお力添えをいただきます。 今回は小池先生より同窓生の皆様へのメッセージを賜りました。ご覧ください。                           






御挨拶
                           学長・同窓会名誉会長  小池明

  2010年4月、松田幸子先生の後任として学長に就任いたしました。新米の身で、日々、模索をしながら無我夢中で職務を務めております。
  同窓会員の皆様におかれましては、いつも本学に対し絶大な御支援をいただいておりますこと、教職員を代表して心より感謝申し上げます。

 およそ、教育機関と名のるものであればその実力は何で量るべきか、卒業生の方がたの在りようで見極めれば一目瞭然でありましょう。
  本学の卒業生の多くが職業の面でも、あるいは家庭にあっても、人として着実に歩んでおられることに私達は大いに勇気づけられています。ついては今後も、良き後輩が育つことを祈っていただくとともに、皆様の学びのふるさとと言える上田女子短期大学を愛し続けていただきますことを願ってやみません。

  さて、皆様の大多数は卒業されてからこそ、学生時代に学んだ教科、理論、学説などの意味、ひいては学生生活の意義をかみしめられているのではないかと拝察いたします。
  私事になりますが、私自身はいわゆる学問の道を一筋に歩んできたものではありません。これまで社会人としては大半の時間をビジネスの世界に身を置き、社命による二度の留学を経験したとはいえ、教える側に立つよりも学生としての立場にあることが殆どでありました。
 ベビーブーマーであり団塊の世代の者として、私の大学時代は学生運動の最盛期、学生ストの一方で休講や学舎自体閉鎖の連続で、戦時中を除けば最も授業時間の少ない(換言すれば最も学力の低い)学生時代であったと思います。経済学部に在籍していましたが、当時の世相もあずかって様々な経済理論も如何にも机上の空論のように思われ、現実の経済や社会に対して持つべき意味合い、影響力(学生風に言えばこの社会の改革、変えることができるのかどうか)への不信感、即ち経済学は社会で起きた事実に対して後付け講釈に終始しており、これから先の経済の予測、処方に対しては無力であるかのように感じられたものです。(これは全く我が身の不勉強から発した誤り、思い上がりであり、今振り返ると洵に汗顔の至りです)。ちなみにその頃も経済学者が5人寄れば6つの学説が生まれると揶揄されたものです。いきおい勉学よりは運動部が生活の中心になり、そこでの友人や友情が現在でも私の宝となっています。
 卒業後は商社に就職し、主に財務や経理、経営企画に従事いたしましたが、実際にはそこで初めて、学生時代、自分が如何に不勉強であったかを思い知らされました。金融論や為替理論、会計学や人事・組織論など経済学や経営学の個別分野の理解不足は言うに及ばず、例えば経済学に限っても人間の営みである以上、哲学や倫理学と相通底するところがあることに気づかされたのです。大学ではおざなりに学んだ様々な理論、学説が直接自分の仕事、実務に関連を持っていること、その基礎をなしていることを実感し始めたのです。
 幸い、会社には留学制度があり、入社6年目と入社17年目の2回、それぞれヨーロッパとアメリカで1年ずつ学ぶことを命じられました。後者は大学院でMBAを取得する為のものですが、通常2年で修了するものを1年間で取得することを求められ、その時にはまさに必死で勉強に打ち込んだものです。
  膨大な資料、書物を講義前に読んでおくことを前提に授業では徹底的な議論をすることになるのですが、発言が少ないと評価されず、試験の点数が良くても成績は低いものとされます。英語を母国語とする連中でも予習が大変だとこぼすくらいですから我々は拾い読みにならざるを得ませんが、それでも膨大な読み残しがあり、そこを授業にはぶっつけ本番と自分の得意分野に何とか議論を持って行く様な作戦が必要になります。階段教室で前の席のアメリカ人の資料を見るとマーカーで何色にも線が引かれているのが目に入ります。ああ、彼は我々が殆どを読み残しているのに繰り返し読んできたのだな、とため息が出る様な場面を何度も(否、殆ど毎回)経験しました。
  毎晩、殆ど眠る時間がありませんので、結局は授業時間中に船を漕ぐことにもなります。しかしながら、この頃になって初めて、理論や学説というものを自分のアタマで咀嚼し、また、批評ができるようになりました。それが、実務家の観点から、実地に適用できるものか、あるいは空理空論なのかが肌で感じられるようになってくる、理論や学説と対等に向かい合えていると実感できるようなほのかな自信というものが生まれてきたのです。学校で学んだことが本当に生きてくるのはまさにこういう時機ではないのだろうかと実感した次第です。


  皆様方も恐らく、学窓を離れて後、社会人として色々実体験をされたからこそ、学生時代に習ったことが実はそういう意味を持っていたのか、そういうことであったのかなどと理解でき、腑に落ちたという経験をされたにちがいありません。そこで改めて、学校の価値を再認識されたのではないでしょうか。
 どうか、これからも、本学を暖かく見守って戴きますよう、そして学校は良き先輩のあとを次ぐ良き後輩を輩出してこそ先輩方も母校を誇ることができることを御理解いただき、同窓会と学園が相互に支え合って発展を続けることができますよう、御指導御鞭撻を切にお願い申し上げる次第です。

先生のご紹介

小池明 先生

慶應義塾大学経済学部卒業。米国マサチューセッツ工科大学大学院スローン・スクール修了(経営管理修士)。 大学卒業後、三井物産(日・英・仏・中東・米にて勤務)を経て、北野建設取締役専務、監査役を歴任。 現在、長野放送監査役、北野美術館監事に加え、民間企業の取締役も務める。

ページの先頭へ戻る

制作・監修/上田女子短期大学同窓会 Copyright©2007 Ueda Women's Junior College Alumnae Association.